響け!ユーフォニアム3 第十回

わがままを、無責任に。


 どうしても自身で答えを出せず、滝先生に相談をしたのだけれど、それでも納得できる答えは得られませんでした。正直久美子ちゃんも、それはわかっていた上で、もしかしたら、という気持ちで聞いたんだと思います。
 麗奈ちゃんにも勇気を振り絞ってもう一度話してみたけれど、変わらず。麗奈ちゃんの強さはもう半端ないな。事、滝先生が絡んでいたとはいえもうあれはなんだろ。絶対に何があっても折れない意思が見えました…

 そして最後に彼女が頼ったのは、あすか先輩。

 彼女はいつも、いつもいつも久美子ちゃんに必要な言葉を、決して優しさなどには包まずに、ストレートに、むしろ久美子ちゃんのことを考えての言葉ではあるものの、久美子ちゃんのことを気遣う様子なんて微塵もない。そんな言葉をくれます。

 みんなが答えを出してから行動しているとは限らない。
 悩みながら進まざるを得ないときはどうしたってある。そうしないと進めないから。どうしても進めなければいけないときがあるから。
 悩んでいることを打ち明けながら進められることもきっとあるのだろうけれど、今、それをやってしまうと取り返すかつかない。それを滝先生はわかっていて、敢えて黙っているんじゃないか。悩まずに進められる人だったら、こうはなってないなかったんだろう。


 あすか先輩は、久美子ちゃんのその想いは、すべて久美子ちゃんのわがままでしかないと言い切りました。
 わがままをただただ無責任に。そのことをあすか先輩は良かったとか、いいところとかは言わずむしろ「許していない」「折れざるを得なかった」と表現していました。ただ、彼女がどうしたらいいかと聞いたときに、そう、答えた。

 それはあの時、久美子ちゃんの言葉が"響いた"から。


 こうして彼女は彼女を取り戻すことができました。
 本来の彼女。やはり部長というポジション、重みは、彼女を少なからず縮こまらさせてしまっていたんだろうな。あすか先輩の言葉を受け、彼女は今思っていることを、赤裸々に、つまり「本心」を、演奏直前にみんなにきいてもらいました。

 2年間、あれほど頑張ったのに、金に届かなかったこと。
 何か変えなければといけないと思って、今回のオーディションにしたこと。
 そのことに、後悔がなかったわけではないこと、戸惑いを与えてしまったこと。

 それでも北宇治で全国金を取りたい。
 最高の演奏のため。


 ラストの久美子ちゃんの想いは、心に響きました。本心だったからこそ、みんなにもちゃんと響いていた。涙が抑えられませんでした… さすがに1年生だったころから、ちょっとずつではあったものの、こうして3年生まで見続けていると、どうしたって想いは引っ張られるな。もちろん金をとってもらいたい未来は見たいけれど、何よりも彼女たちが全力で臨む姿を見られれば、もうそれだけで胸がいっぱいになりそうです。

 「次の曲がはじまるのです」も、もうあと数回なんだなぁ… 同じくらい、寂しさも高まってきました…


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